丸太

材木屋さんに楠材を選びに行きました。
丸太の状態で選ぶのは慎重に行わなければならない作業です。
これだけは自分で目利きするために必ず行きます。
挽いてみないと木肌が判らないため木任せになる部分もありますが、これも木彫家のひとつの仕事です。
今回も彫刻に適した材なので安心しました。

梅雨の晴れ間に、縦挽きされた楠の丸太が届きました。
これから次の作品構想の寸法に合わせて小割してゆっくりと自然乾燥させ、早くても2年後の作品の材料になります。
小割の作業は手仕事になるため、結構な重労働です。
焦らず仕事の合間をみてやっていこうと思います。

併せて黄楊材も求めました。
黄楊は櫛、はんこ、根付けなどに使われる、細かい仕事に適した堅木です。
私は小彫刻で使用しています。
作品のページに材質が記してありますので気をつけて見て頂けると面白いと思います。

駐車スペースが材木でいっぱいになっています

日本橋高島屋へ


次回の個展を企画して頂いている聖豊社の桜井さん、美術画廊担当の中里さんと展示場所の広さなどの確認と打ち合わせを兼ねてお会いしました。

高島屋さんといえば私には忘れられない思い出があります。
20数年前、8階大催事場で催された「大江戸伝統工芸展」で師匠の代役として仏像彫刻の実演をしました。
指物、ちょうちん、切り子など、多くの職人さんを集めて実演をするという内容のイベントで、実演者の多くは60才過ぎの師匠と呼ばれる方ばかりの中、私一人が20代前半で少し心細い思いで1週間を過ごしました。
お弟子さんたちも私よりかなり年上の方たちが多く、皆さん「何だこの若造は」と思われた事でしょう。私自身も無言の圧力や厳しい視線を感じ、期間中はまるで針のむしろの上で実演をしているようでした。
ただ、お客さんにはえらく受け、いつも私の周りには人だかりが出来ていました。
ほとんど世間話をしていましたが、今思えば良くやったと思います。
師匠の命とはいえ、若さとは怖いものですね。
そんな私が一人の木彫家として同じ高島屋さんで個展をするのですから何となく不思議な思いがします。

打ち合わせも滞りなく済ませ、思い出に浸りながら帰路につきました。

おまけ
友人たちに手作り餃子を振る舞いました。
評判良く、完食でした。
楽しい餃子パーティーでした。

石川家特製手作り餃子

作品撮影の様子

春になりました。
花たちも咲きそろい、陽射しも柔らかく過ごしやすくなってきました。
いよいよ個展も近付き、準備も着々と進んでおります。
DMも出来上がりましたので、その作品撮影の様子を紹介したいと思います。

今回のDMの写真は木漏れ陽で撮りたいという制作スタッフの意見があり、作品を持って近くの公園に行きました。
本来木彫は室内で見るもので、作品保護の為に外気外光は出来るだけ避けるべきものです。
私自身作品を陽光の下に持ち出すのは初めてで、少しばかり抵抗がありましたので移動の際には布でしっかりと包み、箱に入れ、なるべく日陰を選んで歩きました。
撮影が始まるとカメラマンは良いアングル・光・背景などを探して移動を繰り返します。その度に布で包み箱に入れて運びました。
撮影中は自分の作品がどのように写っているのか良く分かりませんでしたが、木々の中で見る作品がとても自然と調和していると感じました。

そうして出来上がった写真は木彫の持つ柔らかさがより一層出ていて、とても素晴らしい仕上がりになりました。
また、人の眼を通して自分の作品を見るという事はとても面白いものだと改めて感動しました。
スタッフを交えての撮影・DM制作は時間的にも内容的にも良い結果が出て、お陰で5月の個展らしい爽やかなDMになったと思います。

気候の良い時期でもありますので、鎌倉散策のついでにお立ち寄り頂ければ幸いです。

石川時彦木彫展『天・翔・華』

5月11日(火)~16日(日)
10:00AM~6:00PM
(最終日は5:30PMまで)

一翠堂画廊
鎌倉市小町2-8-35
0467-25-4349
(電話は会期中のみ)
鎌倉駅東口徒歩3分

おまけ
玄関前の桜、購入後四年目にして開花。
今年咲かなかったら切るつもりでしたが、その気持ちが通じたのか申し訳程度にぽつりぽつりと少ない枝先に花をつけました。

彼岸桜のようで多少開花が早いです。
(3月20日撮影)

制作工程

5月に開催する鎌倉での個展に向けて只今作品制作中です。
3月半ばにDM用の作品が完成し、撮影も無事に終了しました。
ほっと一息つきたいところですが今回一番大きい作品の制作に手間取っております。

ここでその手間取っている作品を使い
少しですが制作の工程を紹介したいと思います。

油土原型を参考に荒彫り途中のもの

原型自体はこんな感じです

ここまできました。(3/15現在)
荒彫りの時と木地の色が違うのは撮影条件の差です

まだこの先の工程もあり他の作品の制作も考えると頭が痛いですが
良い作品を創るために日々頑張っております。

おまけ
『美術の窓』5月号(4月20日発売/生活の友社)に記事と広告を掲載してもらうことにしました。
写真は銀座にある編集部で打ち合わせ中のものです。
左は編集者の栗山さん。
写真と原稿は送るつもりだったのですが銀座で見たい展覧会もあったので、どうせならと思い伺ってきました。
初めての編集部で少し緊張しましたが、それまで電話で話していただけだった栗山さんにもお会いできましたし(美人でした)他の編集者の方々もとても気さくな、感じの良い方たちばかりでした。「写真を撮って欲しい」というお願いにも快く応じて頂け、楽しい打ち合わせとなりました。
発売日が楽しみです。
皆さんも是非チェックしてみてください。

やや緊張気味の私

真冬の奈良、京都

真冬の奈良、京都へ行って来ました。
毎年奈良へは行っているのですが、ここ数年は京都の晴明神社へも行くのが我が家の恒例になっています。
さて今回は南禅寺の湯豆腐を食べたいというリクエストがあり、一日目は晴明神社参拝後、哲学の道を散策がてら銀閣寺、永観堂、南禅寺へと足を運びました。お目当ての店の豆腐は美味しかったのですが、持っていたガイドブックに載っていない隣店の行列が今だに気になります。
二日目は地下鉄に乗り、行きやすくなった醍醐寺へ初めて行きました。そして雪の降りしきる中、東寺へ。久しぶりに接した立体曼荼羅の諸像には感動のせいか寒さのせいか身の震えは暫く止まりませんでした。その後平成の大復興を終えた薬師寺へ。
三日目、温泉を堪能した奈良の宿を後にし大仏殿へ。天平の諸仏が納まる三月堂内では静寂な時間を過ごし、毎回立ち寄る本葛店でうどんを食べてお土産を買い、最後に春日大社へ足を延ばして帰路につきました。
真冬の奈良は静かで人少なく、ゆっくりと仏像等を鑑賞することができます。シーズンオフなので旅費も安くてお勧めです。しかし底冷えしますが・・・。

晴明神社
一条戻り橋にある晴明神社。
最近若い女性の参拝客が増えているそうです。

醍醐寺
山門くぐり参道にて。
この後天気が急変し雪が舞う。

薬師寺
普段は参詣者で混雑していますが、
この時期は閑散としています。