雑記

鎌倉に来てから29回目の夏が来ました。夏には心に残る思い出があります。

今の仕事に慣れてきた10年目の夏の事です。
何を考えていたのか仕事に嫌気がさし、先のことが見えなくなり、心のバランスが崩れたのだと思います。怖いものです。
その答えを見つけたく、何と40日の夏休みを取ってしまいました。
初めの一週間はアパートの部屋でゴロゴロとして、夕方になると近所の飲み屋さんへ行くという、ただダラダラとした時間を過ごしていました。

そんな私を見た知人に、父親の経営する海の家の貸しボート屋を手伝って欲しいと言われ、夏を由比ヶ浜の海で過ごすことになりました。

貸しボート屋の仕事は朝が早く、早朝5時から海の家の前の浜辺にボート・浮き輪・パラソル・サマーベッドなどを準備するというかなり大変な作業なのですが、私は夕方の片づけだけの約束だったので朝8時過ぎにフラフラと現れる、海の仕事としては重役出勤をしていました。

そんな私をボート屋のお父さんは完全に無視してくれました。

しかし実家の駄菓子屋で小さい頃から店番をしていたため接客に慣れていたのが役立ち、一週間後にはそこそこのボート屋のお兄ちゃんになっていました。
その後の夏休みもそのまま海で過ごすことになり、終わる頃にはすっかり悩んでいた事は頭からなくなっていました。

しかしお父さんからの一言が心に刺さりました。楽しいボート屋の仕事は夏だけで、後の残りは副業で過ごすのが海関係の人たちだとのこと。
一年中同じ仕事を出来るのはお父さんから見れば幸せなことだと海を見ながら言われた時は、なんとなく自分に後ろめたさを感じました。

結局、周りの人に迷惑をかけて長い夏休みは終わり、元の仕事場に戻りました。
後日先生の奥さんにはかなり小言を聞かされましたが・・・。

おまけ
夏のある一日、カメラを片手に鎌倉散策しました。
源平池の蓮です

ぼんぼり祭り会場
夜はとてもきれいでした
自宅にて

観音


以前のトピックスで制作過程を紹介しました「観音」を、7月末の暑い日に
(株)サクセスアカデミー社長室にお納めしてきました。
社長の柴野豪男氏は私より4才年上ですが、若い頃からの相談相手であり、また頭の上がらない人生の先輩であり、大切な友人です。

今回は本社移転を機に、社長室に何か欲しいと考えていた柴野さんが私の5月の個展の際に「観音」を気に入ってくださり、めでたくお輿入れと相成りました。
柴野さんには以前にもご自宅の方へ作品を納めさせて頂いていますが、今回は多くの方々の目に留まる社長室の壁という特別な場所で、私自身も設置に大変気を遣いました。
柴野さんとは面白いエピソードがたくさんありますので、おいおいトピックスで書いていきたいと思っています。
殆ど私が迷惑をお掛けしていた話ですが・・・?!

その他にも、今回の個展で作品を所蔵して頂いた方々にはこの場にて御礼申し上げます。

おまけ
岐阜から友人一家が遊びに来てくれました。
以前は近所に住んでいてよく一緒に食事をしていましたが、数年前に転勤になり久々の再会です。
以前トピックスで紹介した餃子の写真を見て「時さんの餃子を食べたい~」と連絡があり、早速遊びにきてくれました。
久しぶりに会った子供たちは大人顔負けの食欲で餃子を食べていきました。

丸太

材木屋さんに楠材を選びに行きました。
丸太の状態で選ぶのは慎重に行わなければならない作業です。
これだけは自分で目利きするために必ず行きます。
挽いてみないと木肌が判らないため木任せになる部分もありますが、これも木彫家のひとつの仕事です。
今回も彫刻に適した材なので安心しました。

梅雨の晴れ間に、縦挽きされた楠の丸太が届きました。
これから次の作品構想の寸法に合わせて小割してゆっくりと自然乾燥させ、早くても2年後の作品の材料になります。
小割の作業は手仕事になるため、結構な重労働です。
焦らず仕事の合間をみてやっていこうと思います。

併せて黄楊材も求めました。
黄楊は櫛、はんこ、根付けなどに使われる、細かい仕事に適した堅木です。
私は小彫刻で使用しています。
作品のページに材質が記してありますので気をつけて見て頂けると面白いと思います。

駐車スペースが材木でいっぱいになっています

日本橋高島屋へ


次回の個展を企画して頂いている聖豊社の桜井さん、美術画廊担当の中里さんと展示場所の広さなどの確認と打ち合わせを兼ねてお会いしました。

高島屋さんといえば私には忘れられない思い出があります。
20数年前、8階大催事場で催された「大江戸伝統工芸展」で師匠の代役として仏像彫刻の実演をしました。
指物、ちょうちん、切り子など、多くの職人さんを集めて実演をするという内容のイベントで、実演者の多くは60才過ぎの師匠と呼ばれる方ばかりの中、私一人が20代前半で少し心細い思いで1週間を過ごしました。
お弟子さんたちも私よりかなり年上の方たちが多く、皆さん「何だこの若造は」と思われた事でしょう。私自身も無言の圧力や厳しい視線を感じ、期間中はまるで針のむしろの上で実演をしているようでした。
ただ、お客さんにはえらく受け、いつも私の周りには人だかりが出来ていました。
ほとんど世間話をしていましたが、今思えば良くやったと思います。
師匠の命とはいえ、若さとは怖いものですね。
そんな私が一人の木彫家として同じ高島屋さんで個展をするのですから何となく不思議な思いがします。

打ち合わせも滞りなく済ませ、思い出に浸りながら帰路につきました。

おまけ
友人たちに手作り餃子を振る舞いました。
評判良く、完食でした。
楽しい餃子パーティーでした。

石川家特製手作り餃子

個展終了

お陰様で個展を無事に終了することができました。
お忙しい中ご高覧頂きました皆様、本当にありがとうございました。
とても充実した楽しい一週間でした。
会場の様子




次回の展覧会は9月29日~10月5日、
高島屋日本橋店で開催致します。
是非足をお運び下さい。